整形外科災害医療財団 トラベリングフェローシップ報告記
渡航先:タイ王国(チェンマイ、ホアヒン、バンコク)
期間:2025年6月28日〜7月10日
2025年6月28日から7月10日までの約2週間、整形外科災害医療財団のトラベリングフェローとしてタイを訪問する機会を賜りました。以下に、現地での貴重な経験を報告させていただきます。
チェンマイでの研修(6月28日〜7月2日)
チェンマイでは、Dr. Chanakarnのご指導のもと、肩および膝関節に関連するスポーツ整形外科手術を中心に研修させていただきました。Dr. Chanakarnは膝・肩のスポーツ外傷治療のエキスパートであり、その精力的な活動には目を見張るものがありました。滞在中、日曜日を含めた3日間で実に11件(腱板修復術、脱臼、人工関節置換術、ACLなど)もの手術を執刀されており、そのエネルギーに圧倒されました。特に、手術手技の圧倒的な正確性とスピードは印象的で、すべてのプロセスが効率的かつ完璧に遂行される様子は、自身の臨床にとって大きな学びとなりました。
TOSSM Annual Meetingへの参加(7月3日〜7月5日)
次に、リゾート地ホアヒンで開催されたTOSSM(Thai Orthopedic Society for Sports Medicine)の年次学術集会に参加いたしました。ビーチに面した会場は非常に開放的でリラックスした雰囲気に包まれていました。学会の公用語はすべて英語であり、アジア各国をはじめ多くの国から研究者が集うなど、国際化に向けたタイの整形外科界の強い意志を感じました。スポーツ整形外科領域における最新の知見や治療法が活発に議論され、その学術レベルの高さに大変刺激を受けました。夜にはパーティーのような華やかなディナーショーも催され、そこで7年前に日本へ研修に来られていたフェローとの嬉しい再会も果たすことができました。
バンコクでの研修(7月6日〜7月9日)
最後にバンコクを訪れ、Dr. Banchaのもとで研修させていただきました。「寝ている姿を見たことがない」との噂通り、Dr. Banchaは早朝3時30分から回診を開始し、4時から手術に臨むという驚異的なバイタリティの持ち主でした。その手術はすべてが論文的根拠に基づいており、これまで見たことのないほどのクオリティで完璧に進行していく様に、ただただ圧倒されるばかりでした。
また、Dr. Banchaはご自身のYouTubeチャンネルで手術動画を積極的に公開されており、チャンネル数は1,000を超えています。帰国後も動画を通じて先生の技術を学び続け、自身のスキルアップに繋げていきたいと考えております。
現地での温かいホスピタリティ
今回の滞在中、Host surgeonの先生方をはじめ、現地のフェローやレジデントの皆様から、心温まる大変手厚いおもてなしを受けました。毎日の送迎はホテルのロビーまで行っていただき、週末には観光案内をしていただくなど、その徹底したホスピタリティには深く感銘を受けました。食事に関しても、前日のメニューや体調を細やかに気遣ってくださるなど、常に温かい配慮をいただきました。
謝辞
末筆ではございますが、今回のトラベリングフェローシップにあたり、タイの素晴らしい先生方をご紹介くださった菅谷先生、ならびに長期の海外派遣をご承認いただいた大学および上肢班の先生方、他班スタッフの方、ならびに財団にこの場を借りて心より御礼申し上げます。
この2週間は、私にとって非常に楽しく、刺激に満ちたかけがえのない経験となりました。この報告が、今後のトラベリングフェローシップへ応募を考える若い先生方の一助となれば幸いです。ぜひ世界の最前線での学びを経験していただくことを強くお勧めいたします。
右から2番目 Dr chanakarn。
TOSSMにて
7年ぶりに旧友に再開(一番右)