「AOFASで発表して」　三井　寛之

昨年度、私はAAOS(米国)、AOFAS（米国）、EFAS（スイス）の3学会に参加させて頂く機会を頂戴いたしました。その中でも、今回はAOFASでのエピソードを中心にご報告させていただきます。
The American Orthopaedic Foot & Ankle Society (AOFAS)は米国における足の外科学会に当たる組織で、毎年総会が夏に開催されています。演題登録がいつも年末年始のシーズンにあり、この時期が来るといつも年の瀬が来たなあと思う、足班の皆にとっては思い入れのある学会でもあります。

今回の開催都市はボストンで、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの世界的にも有名な大学を擁する学術都市として知られています。歴史的にもアメリカ独立運動が始まった場所としても知られ、アメリカの中でも歴史が古く、石畳の道とレンガ造りの街並みが綺麗な都市です。

日本との時差は13時間で、飛行機での所要時間もおおよそ13時間で、往路は現地時刻の日本出発時間前後に到着するという、タイムマシーンに乗ったような心地になります。
ANA便の場合はトランジットが必要であり、まず成田からワシントンＤＣに飛び、そこからLocal線でボストンに入りました。
発表形態は口演、ポスター(現地掲示)、E-ポスターがあり、私が今回採択されたのはポスターセッションでした。
日本の一般的な学会との大きな違いは、ポスターのサイズが大きい！のです。レギュレーションがインチ表記であらかじめメールで送られてくるのですが、㎝に直すと231㎝×106㎝ととても横長で巨大。パワーポイントで縮小版を作成して、拡大版に引き伸ばしてもらうのですが、持っていくためには折りたたむ必要があり、布での作成を余儀なくされました。
また国際学会なので、万が一、私の乗っている飛行機に何かあったときに備え、秋山先生にもう一枚コピーを作成して持って行って頂きました。（幸いこれを使用する事は無く無事終わりましたが）
プレゼンテーションは、決められた日時にポスターの前に立って、興味を持ってもらった先生からの質問を受けるというディスカッションスタイルです。この時間が学会期間中に2時間あります。

発表当日、万全の準備を整え、緊張しながら、さあ、ポスターを指定場所に貼ろうと向かった所、、、、
なっ、なんとっ、誰のものか判らないポスターが私の指定されたスペースに貼ってあるではありませんか！！
秋山先生と二人で右往左往しながら、ポスターデスクに駆け込むと担当と思しき親切なマダムが一緒に現場に急行してくれて、「Oh my god !」と何やらトランシーバーでやり取りをし始めました。
どうやら、この先生は学会公式のポスター印刷＆貼り付けサービス（これ実は日本円にして5万円くらいします。高いです、さすがアメリカ？です、、、）に依頼をした模様なのですが、貼り付けを依頼するはずの学会を間違えて発注してしまったようでした。
最初、親切なマダムがこの先生に必死に連絡を取ってくれていたのですが、連絡が取れないとなり、むげに剥がすわけにもいかず、我々は途方に暮れていました。
その時です、学会長が自ら登場、しばらくポスターを眺めたのち、英語で「しょうがないね、君たち剥がしにくいでしょう、僕がやってあげる」と、それはもうっ、バリバリバリッと豪快に、はい、さすが学会長！！。
もう本当、豪快にポスターを剥がして行くではありませんかっ。さすがアメリカッ！！USA！！
あっけに取られながらも、剥がされたポスターの残骸を脇に、親切なマダムは私のポスターの貼り付けまで手伝ってくれました。おかげ様で、緊張はこれで一気に消し飛び、リラックスムードで発表に臨むことができました。

実際の発表の時は、それまで閑散としていたポスターエリアに人だかりができて、一気に賑わいます。米国、日本の先生からの質問以外にも、韓国の先生にも興味を持って頂き、色々な質問をして頂きました。
さらには、幸運にも仁木教授の留学先で教鞭を取られていたSangeorzan先生が、たまたま私の隣のブースで発表をされており、直接お話をさせて頂く機会にも恵まれました。

私にとって、この学会程たくさんの海外の先生方と交流を持った学会はこれまで無く、大変貴重な経験をさせて頂くことが出来ました。
最後になりましたが、多くの海外学会参加をサポートしてくださいました足の外科班の先生方、医局の皆様、そしてご指導いただきました仁木教授、平野先生に厚く御礼を申し上げます。これからも頑張って参ります！！