女性外科医の話題が出たり、ドラマがヒットしたりと何かと話題になる女性外科医ですが、これまでにも当科には多数の女医が在籍し、現在も6名が在籍しております。今回は子育て中の後期研修医のお二人に質問をしてみました。学生や初期研修医の先生で整形外科に少しでも興味を持たれている方の参考になれば幸いです。
女医1(以下①)卒後4年目のです。
女医2(以下②)卒後2年目の終わりです。その時はまだ確定はしておらず、妊娠が確定したのは入局した年の春でした。
①大学病院で当直を含む常勤勤務でした。
②初期研修医として大学病院本院に勤務していました。
①医局長に報告しましたが、すぐに勤務形態など対応をしてくださいました。周囲の先生もサポートしてくれました。
②まだ研修医だったので相談すること自体非常に不安でしたが、入局直前という時期だったので妊娠が確定する前に当時の医局長に相談させて頂きました。当直の免除や悪阻が辛い時期の勤務形態の配慮など、迅速に動いて頂きました。「おめでとう」と言って頂けたことで、非常に心が軽くなったのを覚えています。
①大学病院で常勤勤務でしたが、当直は免除していただきました。また、つわりなどの体調不良や受診時は、外来や外勤なども周囲の先生がサポートしてくれました。
②大学病院本院で足班に所属していました。妊娠期間全体を通してあまり体調が優れず、当直は免除して頂き、業務がひと段落したら夕方には帰宅させて頂いていました。特に妊娠初期は悪阻がひどく、ヒトとして最低限度の生活すら送れず1か月間休職させて頂いた時期もありました。安定期に入り少し落ち着いたら、放射線を使用する手術には入らず、新患外来、外来のサポート、病棟業務をメインにしていました。
①育休含め約1年間。
②産前6週、産後8週取得させて頂きました。育児休業も1年間取得させて頂き、その間に大学院の研究を進め、学位を取得させて頂きました。
①大学病院で常勤勤務ですが、当直は免除していただいています。基本的には保育園の時間や子供の様子に合わせて出勤・退勤させてもらっています。
②復帰した時は大学病院本院勤務でした。今年度は入局後初めて関連病院で勤務しています。現在は、子供を8:15頃に保育園に送って、9:00までに病棟に到着。日中は外来や手術、病棟業務など他の先生と同じように仕事をしています。帰りは、17:30頃に病棟を出発し、18:00の保育園のお迎えに間に合うようにさせて頂いています。現在主人が単身赴任のため、平日は母一人子一人でなんとかやっています。
①夫に保育園の送り・迎えを頼んで、出席することもあります。基本的に子供の送迎担当は私なので、可能な範囲で出席しています。
②多摩病院では週1日、朝7:30からカンファレンスを行っていますが、現在それには参加していないです。参加したい気持ちとなかなか参加が難しい現実に葛藤中です。
①外勤も当ててもらっています。当直は免除していただいているので、日曜日はお休みさせていただいて、土曜出勤は平均月2回程度です。
②常勤フルタイム勤務の時には、外勤にも行かせて頂いています。勤務がない土曜日と日曜祝日はお休みを頂いています。
①夫や実家にお願いをして、参加できる時は参加しています。
②子供が小さい時には、学会の託児所に子供を預けて学会に参加していました。子供が少し大きくなった今は、1泊程度であれば実家にお願いしています。医局行事にも、行事内容によっては子連れで参加する時もあります。
①申し送りなどをして、迎えに行かせていただきます。
②今は全て私が対応し、早退させて頂いています。職場の皆さんには本当に感謝しています。子供の急な発熱はもう仕方がないので、こればかりは割り切るしかないです。なので、突然早退しなければならなくなることを常に想定して、日々の診療にあたっています(誰が見てもわかりやすい申し送りのようなカルテを書いておく、など)。
①チームの先生方に連絡をして、対応しています。急なお迎えや、病児保育のための小児科受診は時間をいただいて行かせてもらっています。可能な限り、実家に預けたり病児保育を利用しています。
②とにかく申し送りをして、仕事の漏れがないように心がけています。あとは、なるべく休む日数を少なくできるように全力で子供を休ませ回復させます(笑)しかし、病気の時は母親にベッタリになるので、その後高確率で風邪をもらいますが…
①病児保育を利用しています。
②院内保育園に病児保育がありますので、それを利用しています。最近定員が増えたので預けやすくなりました。しかし、本院の院内保育園は本院勤務者のみ利用できるので、多摩病院勤務の現在は利用できないのがネックです。多摩病院では小児病棟で預かってもらえるホスピタルケアというシステムがあり、そちらを利用したこともあります。
①急な遅刻や休みになることもありますが、優しく対応いただいています。
②私がオペレーターの手術をなるべく早めの時間帯に入れて頂いたり、夕方に「時間になったら保育園のお迎えに行ってね」と声をかけて頂いたり、いつも御配慮頂いて感謝しかないです。周りの先生方に負担をかけていることも多くあるので、なるべく日中は1秒も無駄にしないという気持ちで、全力で業務にあたっているつもりです。
①医師という仕事自体に責任を感じますし、育児と仕事で体力的にも精神的にも辛い時は正直、あります。大学病院で働くこと、働き方を変えるべきか悩むこともありますが、家族や職場のサポートもあり、続けることができています。
②正直大変です(笑)ただ、一言言えるのは、「なんとかなる」です。学生さんや若い先生方は「やっていけるのかな…」という漠然とした不安感があると思います。私もありましたし、今も不安な気持ちがない訳ではないです。でも、目の前の事に真摯に取り組んで成長する姿を、きっと子供は見ていてくれると信じて頑張っています。幸い「なんとかなる」環境を、医局、そして周りの先生方が作ってくださっているので、それになんとか答えたいと思っています!(ちょっと辛い時には、幸い当講座には女性医師がたくさんいるので、女子会でいっぱい喋って発散しています。笑)
整形外科の女性医師の割合は1割に満たない程度ですが、女性の患者さんが多い科でありますます私たちが求められる科だと思います。しかし、女性としての人生も歩みたい、子供が熱を出せばすぐに迎えに行ってあげたい…。当科は教授、医局長のご配慮の元、それぞれに合わせて勤務形態や働き方を調整していただき、周りの先生方にも常にご配慮をいただいており、大変ながらも働きやすいと思います。一人ひとりおかれてる環境や家族の形態は違いますので、その時に応じて相談しながら仕事とプライベートが両立できるように、少しでもストレスなく働けるように、みんなでサポートしていきます。