上肢

上肢

上肢外来は肩から手まで、上肢全体の運動器疾患を扱う外来です。対象疾患は一般外傷、交通事故、労働災害、スポーツなどの外傷のみならず、末梢神経障害、骨・関節障害、腫瘍性疾患、先天異常などきわめて広範囲にわたっております。さらに、マイクロサージャリーの技術を用いた切断指再接着や複合組織移植術による四肢の再建も対象にしております。
近年、手術は低侵襲手術の方向に向かっており、当科でも手根管症候群に対する鏡視下手術、手関節、肘関節、肩関節に対する関節鏡や鏡視下手術など新しい方法も取り入れております。手術は上肢伝達麻酔下に外来手術が基本ですが、侵襲の程度によっては1泊2日入院や入院のうえ全身麻酔下の手術にも対応しております。日常生活や社会復帰のためにはリハビリテーションも重要です。当院では作業療法士(OT)が上肢のリハビリテーションに従事しております。保存療法や手術療法などの各種治療にリハビリテーションを加えたトータルな医療をめざしています。

 上肢班には本院、分院、関連病院を含め9名のスタッフがおります。うち4名が手の外科専門医で、現在、日本手外科学会、日本肘関節学会や日本マイクロサージャリー学会で治療成績の向上のため努力しております。
上肢外来は月曜日の午前・午後に行っておりますが、お急ぎの場合は上記スタッフの一般外来にご紹介下さい。我々は腕神経叢から手まで上肢全体をカバーし、神奈川県下で最も優れた治療成績を出せるよう努力しております。

1.外傷

 肩から手における骨折、靱帯損傷、脱臼、神経損傷、外傷性変形治癒など広範囲にわたる疾患を対象としております。治療方針は保存療法で可能なものは、基本的に保存療法を行ないます。解剖学的な整復困難な骨折、上肢機能障害が残存しやすい外傷、社会復帰を早期に希望される患者様など、患者様の個々の生活様式も踏まえ、積極的に外科的治療を選択しております。 超高齢化社会において増加傾向の橈骨遠位端骨折では、関節外骨折であり転位が軽度の症例はギプス固定による保存療法を行ないます。転位の高度な例、関節内骨折、早期社会復帰を希望される患者様には、強固な内固定を目指すために、外科的治療によるロッキングプレート固定を行ないます。その他部位の骨折に対しても強固な内固定を基本とし、ロッキングプレート、髄内釘など最新の各種インプラントを選択し手術を行なっております。
小児外傷の基本は保存療法ですが、上腕骨顆上骨折での解剖学的な整復の困難例、上肢機能障害が残存しやすい外傷などは外科的治療を選択しております。

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折
左図:術前レントゲン
右図:術後レントゲン。掌側ロッキングプレートによる内固定。

2.末梢神経障害

 主に正中神経、橈骨神経、尺骨神経の障害を取り扱います。手根管症候群、肘部管症候群、ギオン管症候群、前骨間神経麻痺、後骨間神経麻痺などがあります。
正中神経障害である手根管症候群の当院での症例数は豊富であり、単純レントゲン検査、知覚検査、超音波検査、神経伝導速度などの検査を行ない診断しております。外科的治療は局所麻酔で行なう鏡視下手根管開放術を基本とし、患者様の症状や病態によっては従来法である直視下手根管開放術を行なっております。
肘部管症候群に対しては従来からの神経剥離術を行なっております。

手根管症候群の鏡視下手根管開放術

手根管症候群の鏡視下手根管開放術
左図:専用カニューラを手根管内に挿入。皮膚切開は約5mm、2箇所行なう。
右図:肥厚した横手根靱帯を専用ナイフにて切離する。

3.スポーツ障害

 投球障害における肩・肘関節障害、離断性骨軟骨炎、腱板断裂、肘内側側副靱帯損傷、関節内遊離体、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、手関節TFCC損傷などを扱います。この分野では低侵襲手技である関節鏡を積極的に取り入れて行なっております。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)における関節鏡手術を行なう施設は全国的には少数ではありますが、当院では2005年より関節鏡下の治療を行なっており、良好な成績を得ております。

テニス肘の関節鏡手術

テニス肘の関節鏡手術:滑膜ひだ(フリンジ)を認め、関節鏡下に切除・郭清(デブリードメント)を行なう。

4.関節症・関節リウマチによる関節変形・腫瘍など

 関節リウマチも含めた上肢における関節症・関節変形を取り扱います。肩、肘、手関節、CM関節などの関節症に対し、関節鏡を積極的に取り入れた手術療法を行なっております。また、関節リウマチに伴う手関節変形に対する関節形成術、腱損傷に対する腱移行術、重度の関節症に対する人工関節置換術なども行なっております。

母指CM関節症に対する関節鏡下の関節形成術

母指CM関節症に対する関節鏡下の関節形成術
左図:術前レントゲン
右図:CM関節への関節鏡の挿入および関節形成

5.先天性疾患

 上肢における先天性の変形、骨異常、短縮、機能障害を扱います。多指症、合指症、短指症、先天性骨癒合症、握り母指などに対し、小児の成長・発達状態をみて手術治療時期を検討しております。

6.マイクロサージャリー

 マイクロサージャリーの技術を用いた切断指再接着や複合組織移植術による四肢の骨・軟部組織欠損に対する再建術を行なっております。血管・神経・腱の手術、各種血管柄付き組織移植術、血管柄付き有茎組織移植術・血管再建術、神経縫合・移植術などを行い、良好な治療成績を得ております。

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